BIATC受講生の声

藤森 千加
基礎生物学研究所 超階層生物学センター バイオイメージング解析室 特任研究員
(受講時:基礎生物学研究所 生殖遺伝学研究室 博士研究員)

 現在私は、BIATC(生物画像データ解析トレーニングコース)を開催する研究室に所属していますが、受講当時は別の研究室に所属していました。そこでメダカ胚のライブイメージングを行っていて、特定の細胞のトラッキングを行いたいと考えていましたが、画像解析の知識がほとんどなかったため、また、実習コースが同じ研究所で開催されることもあり、応募しました。実習の中では、実際にImageJを操作しながら画像をどのように処理し、解析するかということを体験しました。また、講義では単に解析方法を学ぶだけではなく、顕微鏡の基礎的な知識や画像解析を行う前にどのように画像を取得すべきかを学ぶことができました。特にその中でも、顕微鏡の種類や画像取得の方法によっては、本来の結果とは異なる解析結果がもたらされる危険性があるということが、非常に勉強になりました。実際にケーススタディとしての課題についてImageJを操作したことで、画像処理を想定した画像取得(顕微鏡法の選択や撮影条件)の重要性をより実感できたと思います。また、プラグインの導入やマクロの作成方法を学ぶことができたことも有意義でした。

 その後、ポスドクとして東京大学に行き、新たな研究を進め、その研究論文が先日受理されました[1]。具体的な画像解析として、初代培養細胞のGFP遺伝子導入効率を調べるためのマクロを作成して解析を自動化し、効率良く解析しました(図)。おそらく、このコースを受講していなかったら、「マクロやプラグインはなんとなく難しそう」と思って敬遠したと思います。しかし、コースの経験から頭の中に撮影から解析までのフローができたのでImageJを最大限活用できました。もともとライブイメージング解析のために受けた講習ではありましたが、どのような解析が可能なのかの概要を習い、実習の最後にある「受講生の抱えている課題を取り上げた講師全員による議論」は、様々な解析の実例での解析への考え方は大変参考になり、実際に論文でも解析の流れ全体を捉えることができたのだと思います。このコースは、今扱っている画像の解析方法の悩みを解決できるだけではなく、その後の研究にも活かせる生物系の画像解析スキルを身につけられるので、たくさんの人に受講してもらいたいです。

(図)総細胞数(青:核マーカーでカウント)と、GFP陽性細胞(緑)をカウントし、遺伝子導入の効果を検証しました。バックグラウンドの消去、閾値の設定、ROI抽出、analyze particlesで細胞数の定量を行っています。また、複数の画像で同様の解析をするためにマクロを自作しました。
参考文献
  • Fujimori et al. (2022) Dev. Growth Differ (accepted),

追加資料

写真・文:コース運営スタッフ

2014年開催時の様子

講師がプロジェクター/スクリーンで講義し、実習では受講生の理解度や問題点が無いか確認しながら進めた。実習時は複数のスタッフ(講師・TA)が分担して受講生の質問に回答した。


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