BIATC受講生の声

樫本 玲菜
岡山大学大学院 自然科学研究科 地球生命物質科学専攻 博士後期課程3年
(受講時:博士後期課程2年)

 私はメキシコサラマンダーの皮膚再生に関する研究を行っています。損傷前と損傷後でコラーゲン線維の構造を比較したいと考え、画像解析技術を学ぶために生物画像データ解析トレーニングコースに応募しました。

 講義では、顕微鏡の原理から、画像ファイルに含まれる数値情報の読み方、各解析内で行われている計算処理の解説といった、生物画像を扱う上での基礎知識を幅広く丁寧に教わり、さらに実習を通じて実際にImageJの操作手順を学びました。受講当時はコロナ禍ということでオンラインでの受講となりましたが、講義内や休憩時間中の質問タイムや、質問用チャットといった、気軽に質問できる環境を十分に用意してくださっていたので、画像解析初心者の私でも最後まで授業についていくことができました。特に実習では、初心者特有の思いがけないエラーに出くわすことも何度かありましたが、その度に講師の先生やスタッフ方々が迅速に原因を見つけ出してくださったので、独学では何時間にも膨れ上がっていたであろう無駄な時間を過ごさずに済みました。また、講義と実習を完全に分けるのではなく、講義の中に実習を織り込む形での授業だったおかげで、原理と操作手順をリンクさせて深く理解することができました。

 その後は毎日のように画像解析ソフト(ImageJ)を使っていますが、実習以前は一つ一つ手作業で行っていた操作を、マクロを活用して一瞬で処理できるようになったり、何となく他の方のやり方を真似て行っていた解析作業を自分で改良できるようになったりと、格段に効率良くかつ理解度高く研究を進められるようになりました。また、複雑な画像解析を専門家に依頼した際にも、本コースで学んだ知識をベースに、細かい解析条件についての議論を円滑に行うことができました。実際に2022年5月にアクセプトされた論文[1]では、専門家の方と議論してフーリエ変換による解析で皮膚のコラーゲン線維方向性を定量化することができました(図)。

 今後も、本コースで得た知識を土台に、様々な画像解析技術に挑戦していきたいと思います。ぜひ、解析系になじみが無い方や苦手意識がある方にこそ本コースを受講していただき、画像解析によって広がる研究の可能性を感じて欲しいです。

参考文献・資料

追加資料

2021年のオンライン開催時の運営の様子

講師がモニター前で講義する様子をZoom配信(中央)し、また、講師は受講生(カメラON・ミュートON)の様子(右モニター)を見ながら理解度や問題点が無いか確認しながら講義を行った。受講生からの質問はChat形式で受けつけて、複数のスタッフ(講師・TA)が分担して回答する(写真内の人は全てスタッフ)。操作実習時には、画面共有でポイントを伝え、受講生の多くが抱える問題や質問があった際には、受講生の画面共有を行ってもらい、音声でのやり取りしながら問題解決を図った。休憩時間などにブレイクアウトルームを使って個別指導も行った。


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